26,エルメス,man-08.gif, NT専用試作型MA。2機目の「ニュータイプ」専用MA。先の「MAN−03ブラウ・ブロ」に対して、この「MAN−08エルメス」は本格的な実戦型使用になっている。固定武装は2門のメガ粒子砲である。だが、これは自衛用の武装にすぎない。エルメスの主武装は機体後部に収められた10基のサイコミュ誘導式攻撃ユニット「ビット」である。このビットは高度なサイコミュシステムにより遠隔操作が可能で、ビーム砲によって目標を攻撃する。このため、エルメスのパイロットは高いニュータイプ能力が要求される。ララァ・スン少尉の操縦による実戦運用では、連邦軍占領後のソロモン宙域で数隻の連邦軍艦艇を沈め、連邦軍兵士たちに「ソロモンの亡霊」と恐れられた。その後ガンダムとの戦闘で撃破され機体は失われたが、エルメスで確立されたサイコミュ技術は後の機体に反映され、キュベレイをはじめとするニュータイプ専用機に受け継がれている。 27,ガンタンクU,rmv-1.gif, 局地防衛用MS。MSとしての運用には問題の残る性能である「RX−75」であったが、脚部がキャタピラであることからくる生産性の高さは評価された。その生産性と遠距離射撃能力を活かし、「RX−75ガンタンク量産型」が拠点攻撃用に運用されたのに対し、この「RMV−1ガンタンクU」は局地防衛用に再開発された。「RMV−1」は、MSとしての機能をほとんどすべて削ぎ落とし、戦闘車輌としての機能を最優先して開発されている。そのため、120mm低反動キャノン砲×2、4連装ロケットランチャー×1、3連装ミサイルランチャー×1、60mm機関砲と、固定武装が多く装備され、乗員として操縦者と砲手の2名を必要とする。「RMV−1」は、一年戦争後少数が生産され、ジャブローをはじめとする連邦軍基地に配備された。 28,ガンキャノン重装型,rx-77-3.gif, 砲撃戦用MS。「RX−77−2ガンキャノン」の良好な実戦結果を受け、その特徴である遠距離射撃能力を高めるべく開発されたのが、「RX−77−3ガンキャノン重装型」である。機体の基本構造は「RX−77−2」を踏襲し、主兵装を実弾式240mmキャノン砲からより強力なビームキャノン砲に換装している。さらに左腰部にはハンドグレネイドラックを装備、ビームキャノン用のバックパックのため若干の重量増があるものの、戦争終盤に予想された対要塞戦では威力を発揮するものと期待された。しかし、生産コストの高さと戦争終結により、ジャブローで数機が生産されたにとどまった。一年戦争後はジャブローでテストが続けられ、その結果はビームキャノンを搭載した「RGC−83」などに現れている。 29,ジムキャノン,rgc-80.gif, 中距離支援用量産型MS。高価で生産効率の悪い「RX−77ガンキャノン」の代替機として開発された砲撃戦用の量産型MS。機体は「RGM−79ジム」をベースに装甲の一部が強化され、右肩には240mmキャノンが1門装備されている。そのほかの武装は基本的にジムと共通だが、中距離での支援攻撃を主任務とするため、ビームサーベルなどの格闘戦用の武装は装備されていない。大戦末期に完成したジムキャノンは、ヨーロッパ戦線やアフリカ戦線を中心に先行生産型が配備され、ジオン軍残存兵力の掃討作戦では一定の戦果を上げた。しかし、機体バランスに欠陥が発見され量産を見送られたため、活躍の期間は短かった。 30,ジムスナイパーカスタム,rgm-79sc.gif, 汎用量産型MS。制式採用MSとして量産が決定した「RGM−79ジム」であったが、生産性の向上と低コストかが行われたため、完成した機体のスペックは今ひとつ見劣りする物だった。操縦の大部分はコンピューターがサポートしてくれるため、MSに不慣れなパイロットでも比較的容易に扱うことができたが、反面「RB−79ボール」で経験を積んだ熟練パイロットや、先行量産型のジムで訓練を受けたパイロットたちにとって、その能力を十分に発揮できる機体ではなかったのである。そういったベテランパイロットたちのために、より高性能な機体として少数生産されたのが、「RGM−79SCジムスナイパーカスタム」であった。機体の追従性と機動性が強化され、高出力ジェネレーターの搭載によりビームライフルの使用も可能になっている。 31,G−3ガンダム,rx-78-3.gif, ルナチタニウム合金 31,G−3ガンダム,rx-78-3.gif, 固定武装 31,G−3ガンダム,rx-78-3.gif, 現在「ガンダム」のパーソナルネームで親しまれている、RX−78シリーズは増加試作機も含めて8機制作された。そのうちで実戦に参加したのは、2号機とNT専用機に改修された4号機だけである。しかし戦後間もなく、星一号作戦でアムロ少尉の乗機だったのは2号機ではなく、駆動部にマグネット・コーティングを施し運動性能を高めた3号機だったとする説が雑誌に掲載され話題になった。それによれば、本機は「G−3」という無線コードネームで呼ばれていたという。さらにG−3は運動性だけでなく、熱核融合炉用のレーザー加速器も新型に換装し、2号機以上の性能を実現したというが、真偽の程は定かではない。 32,黒い三連星専用高機動型ザクU,ms-06r-1a.gif, 宇宙戦用量産型MS。R−1A型は運用試験において、好成績を収めることに成功した。これを受けて10機のR−1型がR−1A型に改修され、各地の部隊に配備された。本機はその高性能ぶりでジオン、連邦軍の双方を驚かせたが、複雑な構造と調整の難しさが災いしコストが高くなってしまった。その結果、F型のような大量生産には至らず、将兵からは「連邦軍の戦艦を沈めるよりも、R型を手に入れるほうが難しい」と皮肉られるという事態に陥ってしまう。黒い三連星として知られるガイア少尉を小隊長とする特務隊の乗機は、グラナダ工廠で制作されており、機体の細部のディテールが他のものと多少異なっている。 33,ジョニー・ライデン専用高機動型ザクU,ms-06r-2.gif, 宇宙戦用試作型MS。本機は次期主力機選定において、ツィマッド社のMS−09Rと争った機体として知られている。一部の性能では優りながらも、コストと生産性を含めた総合的な面では09Rには及ばず、試作機が4機完成した時点で計画中止となってしまった。だがその性能や計画には見るべきところも多く、本機があったからこそ、MS−14が誕生し得たとも言われている。事実、推進剤タンクに関する問題点や推進器の装甲防御などは、MS−14を設計するにあたって非常に参考になったという。しかしすでに06系の機体そのものが性能面で限界に達しており、開発陣はより飛躍した設計を行う必要に迫られていたのであった。 34,ザクキャノン,ms-06k.gif, 砲撃戦用量産型MS。ジオン軍が地球侵攻を想定し、一年戦争以前から研究開発を進めていた地上用MSのうちの一つ。型式番号からもわかるとおりザクをベースに再設計された機体で、地上部隊の対空防御用として対空キャノン砲をバックパックに装備している。試作機のテストはサイド3コロニー内で行われ、本格的な生産は一年戦争勃発後、占領したカルフォルニア基地で開始された。ザクからの主な改良点としてモノアイの全周化、固定武装の180mmキャノンなどが挙げられる。当初は対空防御用として運用されていたが、180mmキャノン砲が対MS用の支援砲撃にも有効なことが判明し、その後は対空防御用としてよりも砲撃戦用MSとしての運用が中心となった。 35,ザク強行偵察型,ms-06e.gif, 汎用MS。「MS−06Eザク強行偵察型」は、MS06タイプの機動力を活かした戦略偵察機として開発された機体である。「MS−06F」から兵装に必要な部分を極力削除した機体は、代わりに推進剤スペースを10%増加、機体各部に探知システムを装着したものになっている。最大の特徴である頭部モノアイシステムは、もともとの接近戦用のカメラが大口径の高精度望遠タイプに換装され、それに伴いガラスシールドを排除したものである。また、モノアイゲージに縦ロールを追加し、カメラ可動部分の範囲が広げられている。両肩に1基ずつ、腰の関節ブロック前方に1基設置されたカメラや、機体左右胸部の緊急離脱用ロケットなど、偵察任務に特化された機体は連邦にも評価され、一年戦争終結後も接収された機体が使用された。 36,ザク・マリンタイプ,ms-06m.gif, 水陸両用MS。ジオン軍は、一年戦争開始前から地球侵攻作戦における海洋制圧を重視し、水中行動が可能なMSの開発を進めていた。当初はMS−06系を水中戦が可能な機体へ改良する計画が立てられたが、司令部が要求するスペックを満たすことはできなかった。このため、06系の改良型は「MS−06Mザク・マリンタイプ」の名称を与えられ、水中推進用の水流エンジンと水中戦用兵装のデータ収集のため、実戦投入された。製作された7機の「MS−06M」は、北大西洋の潜水艦部隊に配備され、戦果はともかく、データ収集という点では成果を残している。 37,ザクタンク,ms-06v.gif, 作業用MS。「ザクタンク」は、ジオン軍の制式MSではなく、工場で生産された物ではないため一つとして同じ機体は存在しない。もともとは地上の前線部隊が戦闘によって脚部の破壊されたザクの上半身と、マゼラアタックの車体(マゼラベース)を組み合わせて作った作業用マシンだった。作業用マシンとしてMSのマニピュレーター制御の効能は大きく、中でも補給のままならない前線部隊ではこのようなリサイクル機は非常に重宝されたのである。そのため非公式な機体ではあるが、軍司令部でも奨励したため、多くの部隊で「ザクタンク」が製作された。基本的には前線基地での設営作業や、MSの移動・運搬に使われた「ザクタンク」ではあるが、中には武装を施し、戦闘に使用する部隊もあった。 38,グフ飛行試験型,ms-07h.gif, 陸戦用試作型MS。「MS−07Bグフ」の配備が行われるのと同時に、移動力を向上させるためMSに飛行能力を与えるプランがアイザック・ウーヤミック大佐によって提案された。このプランは直ちに実行に移され、グフをベースにした飛行試験機が数機試作されたのである。「MS−07H」は飛行試験型の1号機であり、サイド3で製作された後、アリゾナのフラットネイル基地へ運ばれてテストを受けた。胸部を中心に強化された推進システムを持つH型は、背部のロケットバーニアに加え、腰にも同様の2基の推進器が設けられている。しかし、機体各部の軽量化と同時に進められたこれらの処置をもってしても推力が不足したため、「MS−07H4」までのテストはすべて失敗に終わったのである。だが、それらの実験データは「MS−09」のホバー走行開発に大いに役立った。 39,ゲルググ高機動型,ms-14b.gif, 宇宙戦用量産型MS。ゲルググは設計当初から機体各部の徹底的なユニットかが行われた。これは生産ラインの分業化と、生産段階でのオプション追加による仕様変更を容易にするための配慮である。これにより「MS−14A」の生産ラインを大きく変更することなく、B型やC型の機体生産が可能になった。この「MS−14B」は、「MS−14A」の背部をパネルごとバックパックに換装したもので、「ゲルググ高機動型」と呼ばれる。膨大な初期加速が必要とされる一撃離脱作戦などに使用され、エースパイロットを中心に配備された先行量産型のYMS−14の中にもこのB型仕様の機体は多かった。多くのトップエースが搭乗していたことも手伝い、B型はエースパイロット用の機体というイメージが強い。写真の機体カラーリングは、ジョニー・ライデン専用機である。 40,ゲルググキャノン,ms-14c.gif, 砲撃戦用量産型MS。ビームライフルの標準装備が前提とされていたゲルググだが、機体の開発に比べビームライフルの開発は難航、先行量産型の「YMS−14」の完成時には、ビームライフルはまだ試作の段階であった。開発の遅れたビームライフルの完成を待たず、バックパック方式のビームキャノンを装備した機体が「MS−14C」である。C型はキャノン砲を装備するにあたり、頭部ユニットの再設計を行い、専用の照準器を追加している。キャノン砲はパイロットの操縦系とは独立しており、半自動で索敵・射撃を行うことができた。右腕部のオプションポートには近距離戦用に小型の3連ミサイルランチャーが装備され、逆の腕にはランチャーのカウンターウェイトとしてバックラーシールドを装備している。主なパイロットには、ジェラルド・サカイが知られている。 41,アッグガイ,msm-04n.gif, 水陸両用MS。ジオン公国軍の水陸両用型MS。ジャブロー攻撃用に開発されたMSの一種で、格闘戦に重点を置いているのが特徴。 42,ゾゴック,msm-08.gif,  43,アクトザク,ms-11.gif, 汎用MS。一年戦争後半、ジオン軍は次期主力MSとして様々な機体を開発していた。「MS−11アクトザク」は、MS−06系の設計を洗い直し、総合的な運動性能を向上させた機体である。この機体の開発計画は、これまで運用されていたMSのうち、もっとも汎用性に富み、信頼性も高いMS−06系を正常進化させるというコンセプトから生まれた。実験的ではあるが、関節部を電磁気で包むことで、理論的にメカニック的な緩衝を打ち消すことができるマグネット・コーティング処理が施されており、テストでも優秀な性能を示した。終戦のためジオン軍はこの機体を量産することはできなかったが、戦後その性能の優秀さが認められ、生産施設を押収した連邦の手で量産されることになり、北米のオーガスタ研究所に配備された。 44,量産型(陸戦型)ガンダム,rx-79g.gif, 陸戦用MS。試作機であるRXシリーズの製作過程で生じた余剰パーツを利用して生産された機体。ジオンの地球侵攻によって奪われた、数々の重要拠点の奪回を計った連邦軍は、地上戦力強化のため、量産MS「RGM−79」の生産に先行して、このRX−79(G)を生産した。ジェネレーターなどにRXシリーズの物を流用しているため基本性能は高く、ビームライフルの使用も可能である。しかし、個々の機体性能には若干のバラつきがあり、簡素化のためコアブロックシステムも廃止されている。地上での運用が前提のため、宇宙戦闘能力はなく、小型のシールドや弾薬/補給物資運搬用の兵装コンテナなど、地上での運用に適した装備が施されている。20機程度が生産され、半数は東南アジアの機械化大隊に配備された。 45,ガンダムイージーエイト,rx-79ez-8.gif, 陸戦用MS。「RX−79(G)ガンダム」は量産機ではあるものの、試作機であるRXシリーズの製作過程で生じた余剰パーツを流用して生産された機体である。そのため、前線に配備された「RX−79(G)」20数機分の修理用パーツは十分に確保されていない状態であった。前線の各基地では、機体構造の近い「RGM−79(G)」などの部品を流用することでこの事態に対処し、結果としてカスタムタイプ・ガンダムが数多く生まれたのである。「Ez−8(Extra−Zero−8)」と呼称されるこの機体も、東南アジアの機械化混成大隊に配備されていた機体が大破したため、大規模修理を機にカスタマイズしたものである。胸部に12.7mm対歩兵用旋回式バルカン、頭部に35mm機関砲が新設され、各部の装甲形状を変更することで、対弾性の向上と軽量化が図られている。 46,陸戦型ジム,rgm-79g.gif, 陸戦用MS。量産が決定した「RGM−79ジム」に先行して、深刻な事態にある地球の各線戦用に急生産された地上戦用のジム。「RX−79(G)」とともに地球上の重要拠点に配備された。ジェネレーターを安価で低出力なものに換装するなど、高価なRXシリーズに比べ各所にコスト削減が計られているが、一方で装甲材にルナチタニウム合金を使用するなど、のちの量産型よりは、むしろガンダムタイプに近い機体となっている。ジェネレーター出力が低いため、ビームライフルの使用はできないが、100mmマシンガン、ロケットランチャーなどオプション武装は充実している。連邦軍本部の南米ジャブローで生産されたこれらの機体は、各部隊に配備が進められた。同じ先行量産機では宇宙型の「RGM−79E」がある。 47,ジムスナイパー,rgm-79gs.gif, 陸戦用MS。RGM−79(G)地上用ジムのカラーバリエーションの一つ。ジムスナイパーの呼称は、このカーキ色を基調としたジムが、長距離のビームライフルを装備し、狙撃任務に就いたことによる。装備以外の性能では、通常の陸戦用ジムと特別に変わる部分はない。RGM−79SCジムスナイパーカスタムやRGM−79ジムスナイパーUとはまったく別の機体である。 48,量産型ガンタンク,rx-75.gif, 砲撃戦用MS。「RX計画」により最初に開発されたRXタイプMS。極秘に入手したジオンのモビルスーツ「ザク」の断片的な情報をもとに開発された試作機をもとに、最終的に生産された量産型は対要塞戦などに実戦投入された。歩行システムが完成する前に造られたMSであるため、脚ではなくキャタピラによって走行する。また、マニピュレーターを持たないため、人型兵器としての有用性はなく、MSというより戦車に近い機体となっている。このガンタンク量産型は、コストのかかるコアブロックシステムを廃したため、パイロットの生存率や戦闘データ回収率は低いものの、上半身を回転させることが可能となっている。また、バックパックに装備された大型の自動砲弾装填システムによって、砲撃戦時のより柔軟な運用が可能となっている。 50,先行型ジム,rgm-79e.gif, 汎用型MS。RGM−79(E)先行型ジムはRGM−79系MSのミッシングリンクに位置する謎多き機体といえる。フォルムは後発のRGM−79Cに酷似しながら、RGM−79の一般的な投入時期よりもはるかに以前に配備されていた点が、本機の不明瞭さを深めている。RGM−79(G)の宇宙仕様とする説もあるが、形状の違いなどから全く別の機体だったとする説も存在し、その真相は未だ謎の部分が多い。 51,ザク高機動試験機,ms-06rd4.gif, テスト用MS。一年戦争中盤、ジオン軍は開発の遅れていた次期主力MS「MS−14」が完成するまでの間、連邦MSと渡り合える宇宙戦用MSの開発を急がせていた。軍司令部は、生産ラインの流用できるMS−06系とMS−09系の改修型を候補として想定し、各種の試験を行った。「MS−06RD4」は、「MS−06FザクU」の上半身と「MS−09」の脚部をベースに開発された試作機である。軍は、「MS−09」の脚部ホバー機構を宇宙用スラスターに換装すると、どの程度の機動性能を得られるかをテストするため、この機体を製作した。ザクの上半身を使用しているのは、陸戦型のドムが宇宙用のアビオニクスを持たないためである。月面グラナダ基地で製造されたあと、戦術実験部隊に引き渡された機体は、トライアル中に交戦、破壊されるまでに、多くのデータを残している。 52,ザクU陸戦型,ms-06j.gif, 陸戦用量産型MS。資源、国力で劣るジオン公国が、地球連邦政府に対し独立戦争を挑むためには新兵器「モビルスーツ」の絶対数を確保する必要があった。このためMSの量産に当たり、第一に考えられたのが生産性である。この「MS−06J」は、将来的な地上戦用機の必要性を考え、主力汎用MS「MS−06C(のちのF)」に最小限の改良を加えるだけで製作可能な陸戦用MSとして開発された。機体の大部分のパーツはC型と共通で、地上の重力下ではデッドウェイトとなるスラスター類を削減、脚部サスペンションの強化や、ジェネレーターの冷却システムを空冷式に変えるなどの改良が加えられている。地球降下作戦後、J型の量産は占領した地上の生産施設に移され、地上の様々な戦場で使用された。 53,ザクT(トップ機),ms-05b-top.gif, 汎用量産型MS。U.C.0079.11のオデッサ戦以後に極東地区に落ち延びてきたトップ小隊の隊長機として確認された機体。注目すべきは本機と共に部隊を構成した他の機体がMS−06Jだった点である。一般的には性能が劣ることから後継機のMS−06に主力機の座を譲ったとされる本機だが、状況次第ではMS−06との連携が可能であり、愛機としてこの機体を選ぶパイロットもいたのである。 54,ザクUJ型(アス機),ms-06j-asu.gif, 陸戦用量産型MS。右肩関節と左膝の装甲が欠損し、動力パイプの保護パーツもいくつか失われている。それら以外に目に見える損傷はなく、デル機に比べれば程度は若干ながら良かったと言える。右肩部のシールドが失われており、連邦軍のMSから奪った盾からエンブレムを外して装備していた。 55,ザクUJ型(デル機),ms-06j-dell.gif, 陸戦用量産型MS。左肩と腰部の装甲が激しく損傷し、右肩部シールドの表面にも抉り取られたような跡がついていた。小隊の3機の中で、もっとも損傷の度合いが激しい機体だった。腰部からランドセルに繋がる動力パイプの片方がちぎれて垂れ下がった状態だったが、稼働不能には至らなかったようである。 56,ザクタンク,ms-06v.gif, 作業用MS。一年戦争中後期にかけて、戦闘の激化した前線では、補給もままならないことが多かった。とくにMSは精密な部品が多く、前線の応急処置にも限界があった。「ザクタンク」は、こういった前線の整備事情と、工作作業用機の必要から生まれたMSである。「ザクタンク」とは戦闘によって脚部を破壊されたザクの上半身と、マゼラアタックの車体(マゼラ・ベース)を組み合わせて作られた再生機の総称であり、兵士たちの付けた愛称でもあった。機体は、部隊によって様々なバリエーションが存在する。この「MS−05」の上半身を使用した機体からは武装がはずされ、ドーザーブレードやロングマニピュレーターが取り付けられた完全な作業用マシンとなっている。 57,グフ・カスタム,ms-07b3.gif, 陸戦用量産型MS。もともとは宇宙用の改修機に過ぎない「MS−06J」に代わる新たな地上戦用MSとして開発されたのが、「MS−07Bグフ」である。しかし、対MS戦闘のため、接近戦闘兵器の固定武装化が行われた結果、MSの利点であった汎用性が失われてしまった。「MS−07B3」は、その反省を生かして、汎用性の確保と遠距離戦闘性能の向上を目指してチューニングされた機体である。B3型は、従来5連マシンガンを内装していた左手を通常のマニピュレーターに戻し(代わりに外付け3連装35mmガトリンク砲を装備)、汎用性の回復を図っている。また、格闘戦移行時には簡単に着脱できる75mmガトリンク砲を装着したガトリンクシールドや、ロッド径を細くして有効射程を延ばしたヒートロッドなどを装備し、オールラウンドの戦闘特性を持つ機体に至っている。 58,グフ飛行試験型(8号機),ms-07h8.gif, 陸戦用試作型MS。MS飛行実験機として試作された「グフ飛行試験型」の8番目の改良型が「MS−07H8」である。実験飛行中に爆発してしまったものの、比較的良好な結果が得られた「MS−07H4」の設計コンセプトを継承しつつ、細部に改良が施され、数機が試作されている。バックパックと腰部のスラスターをより強力なものに換装し、脚部の熱核ジェットエンジンも出力の高いものが使用された。バックパックとスカートアーマーに取り付けられた可動式の安定翼により空中での姿勢制御能力も向上している。しかし、スラスターの推進剤の搭載量限界や熱核ジェットエンジンの冷却問題は依然として残っており、高速で高度をとった飛行を行うと飛行時間は極度に短くなる。 59,ドム,ms-09.gif, 陸戦用量産型MS。脚部に熱核ジェットエンジンを搭載し、そのジェット噴射によりホバー走行を行うという画期的なアイデアで、陸戦用MSの移動速度の遅さという欠点を解消したMS−09ドムは、厚い走行と強力な火器(ジャイアント・バズーカ)を装備したことで、一躍ジオン軍の地上戦力の主役となった。アフリカ、ヨーロッパ戦線を中心に広く配備されたドムだが、市街地、砂漠、寒冷地などの戦地によって様々なカラーバリエーションが存在する。これもMS−09の汎用性の高さを物語るものであろう。このドムはアジア方面の戦線で確認されたものである。 60,アプサラス,apsaras.gif, 拠点攻撃用試作型MA。スペースコロニーを地球に落とすことで、連邦軍司令本部がある南米ジャブロー基地を消滅させる予定だったブリティッシュ作戦失敗後も、ジオン軍はジャブローを落とすための計画をいくつか立てていた。試作MA「アプサラス」はそんな中でもっとも実現性の高い計画にそって作られた機体である。「アプサラス」が完成すれば、ミノフスキークラフトを利用しての宇宙からの侵攻降下でジャブロー基地に一気に近づき、高出力メガ粒子砲で基地を、それを守る堅い岩盤ごと破壊することが可能と考えられた。アプサラスはまず実験機として2機が製作された。「MS−06」の部品を流用し、アジアのMS開発基地で完成した機体は極秘裏にテストされ、完成機のための貴重なデータを収集するのに役立ったのである。1号機はミノフスキー・クラフトによる飛翔データ収集を目的とするため戦闘能力はない。外見は2号機と同じだが、大型メガ粒子砲はダミーである。 61,アプサラスU,.., 拠点攻撃用試作型MA。アプサラスTに続き、テストベッド機として改修された機体。メガ粒子砲も実際に搭載され、射爆場で発砲テストも行われた。ただし、テスト中に連邦極東方面軍コジマ大隊所属第08MS小隊の待ち伏せに会い、山岳地帯に不時着を余儀なくされた。最終的には機密漏洩を恐れたパイロットが自爆させている。 62,アプサラスV,apsaras3.gif, 固定武装 ・大型メガ粒子砲 62,アプサラスV,apsaras3.gif, 拠点攻撃用MA。実験機であるアプサラスの1号機と2号機での最大の問題点は、飛行推進に使われていたミノフスキークラフトシステムであった。ミノフスキー理論を利用してプラズマを発生させ、揚力と推進力を発生させるシステムは電力を大量に必要とするため、ジェネレーターの発電量が間に合わなかったのである。しかも、完成機である3号機では機体の安定を図るため、ミノフスキークラフトシステムを2基搭載される予定となっていた。結局「MS−09RU」のジェネレーター3基を流用することで問題を解決した3号機は戦闘で失われた1号機と、3号機の部品取りに使われた2号機のデータをもとに完成した。しかし、遅すぎた完成により3号機がジャブローの空に浮かぶことはなく、第08MS小隊所属のEz8にコクピットを破壊され、撃破されている。